体験談&実例集 『プロジェクトに学ぶ』
賃貸リノベーション

ありがちなことに、賃貸マンションでたまに変なプランに遭遇します。一見するとそんなでもないけれど、実際の部屋を見てみると、なかなか生活のイメージがしづらいというか。

間取り図には載ってないけど、ダイニングの動線の真ん中に洗濯機置き場があり、これが全体を狂わせているのは明らか。けれどこれ、ちょっと動かすというのがむずかしい。水栓と排水口の移動はなかなかの大工事になります。

キッチン自体も2DKというこの間取りにしてはアンバランスに小さいし。組込みの冷蔵庫では物足らない。しかし、冷蔵庫を置けそうなスペースがほかになかったり。
なぜこんな中途半端な間取りが出来上がったのかを考えてみた。実はこのマンションの他の部屋は全てワンルームになっている。一番角のこの間取りだけが2DK になっている。しかも、ワンルームの倍の大きさで。本来なら、ワンルームを2つ作れば済むものの、たぶん外廊下を角まで伸ばせなくて玄関が作れなかったの と、法規制上の採光居室が確保できなかったなどの理由があったんだろうと想像します。そういう成り行きなどがあって、この「ワンルーム+ワンルーム」的な妙な間取りが出来上がったのだろうと。

部屋の中の痛みもあちこち激しいです。フローリングは表面の塗装がはがれてこんな感じ。なぜこうなったか?

キッチンのパネルも表面がボロボロ。あまりこのような劣化は見ないものですが、おそらく洗濯機置き場からの湿気が影響していたんだろうと推察し ます。換気をき ちんとしていれば防げたと思うけど、ダイニングの換気扇はキッチンのコンロ上のものだけなので、これをいつも回しっぱなしというわけにもいかず、それでこの部屋には湿気がいつもこもっていたのだと思います。

窓ガラスもこんな風に割れていたり。こういう割れ方は「熱割れ」に よるもの です。ガ ラスというのは元々熱に弱いもの。強い直射日光を浴びるような場所で、カーテンや家具などに囲われて熱がこもりやすい状態が続くと、このように割れること があります。間取りが悪いと、家具などを置く場所がなく、しかたなく窓の前に置くようなことがあると、この窓ガラスの熱割れを誘因します。

ダイニングと洋室を仕切る壁と引き戸も邪魔かなという気がします。部屋数を重視する時代の名残ですね。人口が増えない時代に空室が余ってきているわけなので、これからは部屋を細かく仕切って狭苦しく暮らす時代ではなくなってると思います。


これはトイレの天井の写真です。なんと、上の階からの漏水があったみたいです。こういう場合は、すぐに上の階の住人と損害賠償の交渉をしましょう。入居時に加入する火災保険が使えるはずなので、スムーズにいくと思います。こういう時のための保険ですから。

それとやっぱり、このユニットバスですね、問題は。浴槽と洗面台が一緒になった「2点式」と呼ばれるものですが、洗面まわりには、小物が結構多いので、少 なくとも棚くらいはほしいです。そもそも、風呂に入る時にどこで服を脱ぐかということを考えると、この2点式ユニットバスが必要なのは、スペースがなくて 仕方がない間取りだけにしたいですね。これもワンルーム仕様の名残りでしょう。
さて、これをすっきりリノベーションです。

洗面室はめでたく独立した部屋となり、洋室から直接出入りする形に。鏡裏が収納になっているものが使いやすいですね。

浴槽もシンプルな独立式に。ユニットバスはメーカーからいろんな仕様のものが出ていて、オプションも豊富ですが、いろいろ選ぶと結構高価なものになってしまいます。それよりも基本機能のしっかりしたシンプルなものはコストパフォーマンスが高いと思います。

漏水で悲惨なことになっていたトイレもきれいになりました。

ダイニングと洋室との境の間仕切りはとりはらい、ひとつの空間したのが今回のリノベーションのメイン。

なおかつ、キッチンを対面式したので、空間にメリハリが生まれたと思います。

キッチンは横幅120cmの小ぶりなものだけど、シンクも使いやすいサイズで、上には収納棚があります。カウンターまわりやコンロ前の小壁がミソです。このあたりの寸法は結構シビアにデザインします。数センチの違いで使い勝手や雰囲気が全然違うものです。

ご依頼者様とデザイナーとの打合せは入念に。打合せも数が多ければいいというものではないです。むしろ、カラーコーディネイトについては、でき るだけ一辺にやるのがいいです。バラバラに決めると、トータルコーディネイトにならなくなってしまいがちです。打合せで全ての仕上げサンプルを並べてみて、バランスを 確認します。

なおかつ、実際に現地でも床材などのサンプルを並べて確認してみることも大事です。仕上げ材は、光の加減で色の見え方が変わることもあります。

工事の時は、元の仕上げを剥がした状態(「スケルトン」と言います)にした時点で、想定通りに工事が進められるかを確認します。マンションの場合は、特に設備配管の経路を自由に確保できないケースがよくあります。コンクリートの床や壁で囲まれていて、そこに勝手に穴などあけるわけにはいかないですから。

全体的に色合いはかなり変えました。けれど、元の扉など使えるものはそのままにして、表面にシートを張る工法でやります。そうやって不要なコストアップを 防ぎます。扉の場合は特に、扉の枠をそのまま使えるととても節約になります。木製の枠には塗装を施します。周囲の木目と融和するように入念に塗料を調合し ます。

(↑リフォーム前) → (↓リフォーム後)

洗濯機置き場のあった場所も扉と壁の色を合わせて、シンプルなイメージになったと思います。

床材は大胆な斜めのラインを入れて、木目と石調を貼り分けています。素材は塩ビのもので、すなわち印刷物なのですが、最近のものは本物の木のフ ローリングと 見分けがつかない質感があります。本当に分からないです。なおかつ、フローリングよりもキズなどに強いという特性もあります。本物志向の人には物足らない かもしれませんが、賃貸で気軽に借りて住むという方には合ってるかもしれません。

このようにシンプルに見えるようにすることが大事だと思います。巾木(床と壁の境にある部材)も色を合わせます。

インターホンもカメラ付きのものに変えました。また、スイッチプレートも一緒に交換します。こういう細かい点を忘れてしまうことがありますが、後からやろうとすると工事が割高になってしまうので、できるだけ抜け漏れがないように工事を依頼することが大事です。

総費用は204万円(税込)でした。キッチンが14万、ユニットバスが33万、洗面台まわりが11万などが主な内容です。そのほか、壁の撤去で15万、ガラス交換が1箇所4万、クリーニング清掃で5万ほどかかります。

当社では、完成時の検査のサポートも行っています。配管の継ぎ目からの水漏れがないかなど入念にチェックし、不具合があれば業者さんに手直しを依頼します。 こういったことも、後からクレームとなってしまうと、入居の方にご迷惑をおかけするし、業者のほうも対応がしにくくなるため、検査でしっかり不具合をつぶ しておくのがお互いにとっていいことです。完成検査は、そのようにお互いの責任感に基づいて行うのが理想的だと思います。業者まかせではダメです。
壁・ドアの⽳、フローリング・サッシのキズ、家具の補修、修繕、⾬漏り
鍵・照明・スイッチ・コンセント・換気扇・エアコン・インターホン・アンテナ・ドア・鍵・棚・蛇⼝・蛍光灯等の取付け、取替え、取り外し
壁紙・クロス・フローリング・襖・畳・網⼾・障⼦の張替え、椅⼦・ソファー・家具、外壁塗装、屋根防⽔、タイル・レンガ貼り、カーペット敷き
換気扇・エアコン・レンジフードの洗浄、窓・風呂・タイル、ごみ・不⽤品回収、⽚付け、お掃除、キッチン・浴室・カビクリーニング
庭⽊・植⽊剪定、伐採、雑草取り、芝⽣・⾼⽊・低⽊⼿⼊れ、造園、ガーデニング、花壇、フェンス、照明、レンガ・敷⽯、池、坪庭
どこから手をつければいいのか分からない家の修理 ・・・「どこに頼むか?」
最近、中古のマンションや戸建てを買うという人も増えてきていますが、それでも住宅購入者の8割は新築を選んでいます。そして10年くらい経てば、かつてのピカピカの新築もさすがに古くなってあちこち傷みが目立ち始めます。壁の汚れ、床の傷、ひび割れ、水漏れ、ドアのがたつき、設備の故障、などです。汚れ程度なら、放っておいても特段困ることもないでしょうが、機能的なものの不具合はストレスも溜まります。「これは直せるのか?」と考えはじめることでしょう…
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